「仮想通貨を利確したいけど、税金がこわいな」
「仮想通貨の取引してるけど、確定申告は必要なの?」
「そもそも確定申告のやり方がわからない」
このような疑問や不安を抱えている方も多いと思います。
結論、仮想通貨を取引している場合、確定申告が必要となる可能性があります。
しかし、下記の3ステップを踏めば確定申告をスムーズに行えるので安心してください。
1.損益計算する
2.確定申告書を作成、提出する
3.納税する
本記事では、
・仮想通貨の確定申告は必要かどうか
・仮想通貨の確定申告のやり方
・仮想通貨の確定申告の注意点
を解説します。
初めての方でもわかりやすいよう、具体例を交えながらまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
仮想通貨の確定申告は必要か?
仮想通貨の取引をした場合、確定申告が必要となる可能性があります。
しかし、取引状況によっては不要となる場合もあるため、自身の取引内容が確定申告の必要があるかどうかを理解しておきましょう。
よって、確定申告が必要な場合、必要ではない場合をそれぞれ解説していきます。
確定申告が必要な場合
仮想通貨を取引して一定以上の利益をあげた場合、確定申告が必要です。
しかし、確定申告が必要かどうかの基準は、給与所得の有無で違いがあります。
給与所得がある会社員 1月〜12月の間で利益が20万超え
給与所得がない方(フリーランスや主婦など) 1月〜12月の間で利益が48万超え
仮想通貨を売却したとき、仮想通貨で商品を購入したときなど「持っている仮想通貨を使用した場合」に利益としてカウントされます。
利益については「税金のかかるポイントは4パターン」で詳しく解説します。
ここでは、利益を一定以上あげると確定申告の必要がある、と覚えておきましょう。
確定申告が必要ない場合
仮想通貨を取引したからといって、必ずしも確定申告が必要ではありません。
確定申告が不要なのは、下記の場合です。
1.仮想通貨を買う
例:日本円でビットコインを購入する
2.仮想通貨を保有している
例:ビットコインを100万円分保有している(持っているだけ)
3.仮想通貨の利益が低かった場合
例:年間の利益が20万円以下だった(会社員の場合)
仮想通貨を買ったり、保有したりするだけでは確定申告は不要です。
含み益がある場合も、売却したり、他の仮想通貨と交換しなければ利益としてカウントされません。
また、仮想通貨の取引で利益をあげた場合でも、金額によっては不要となる場合があります。
給与所得のある会社員 | 利益が年間で20万円以下 |
給与所得のない方 | 利益が年間で48万円以下 |
仮想通貨の取引で確定申告の必要有無を判断する際は「給与所得の有無」と「利益額」の把握が必要です。
仮想通貨の確定申告のやり方3ステップ
ここからは、仮想通貨の確定申告のやり方を3ステップに分けて解説します。
3ステップは下記の通りです。
1.損益計算する
2.確定申告書を作成、提出する
3.納税する
1.損益計算する
まずは、仮想通貨の取引で年間にどのくらい利益・損益があるのかを確認します。
確定申告が必要かどうかの判断と、いくら納税するかを把握するために、損益計算は必要です。
損益計算は、以下の流れで進めます。
1.使用する平均法を選択する
2.取引履歴を収集する
3.損益計算をする
1.使用する平均法を選択する
損益計算に使用する平均法は、「移動平均法」と「総平均法」の2種類があります。
それぞれ、下記の特徴があるため、自分にあったものを選択しましょう。
移動平均法
仮想通貨を取引するたび、取得価額を計算する方法
正確な取引価格を把握しやすいが、取引が多くなるほど計算回数も増える。
総平均法
「年間購入額の合計」÷「購入数量の合計」で計算する方法
計算が1回のみで簡単(年末にまとめて計算)だが、実際の利益額との差がでる場合がある。
平均法はどちらを使用しても問題なく、将来的な利益金額も変わりません。
(1年単位だと計算結果に差が出る場合があります)
移動平均法で計算したい場合は、税務署に届け出が必要です。
届出をしない場合は、総平均法が自動選択されます。
また、一度選択した平均法は3年間変更できないので注意が必要です。
取引事業者の年間取引報告書(取引履歴)の多くは「総平均法」を採用しています。
総平均法を選択したほうが自動計算ができるため、手間が少なく済み、おすすめです。
2.取引履歴を収集する
仮想通貨の損益計算を行うための取引履歴を収集します。
履歴は利用している取引所(CoincheckやbitFlyerなど)から取得でき、取引を初めて行ったときから現在までのものが必要です。
取引履歴に1件でも漏れがあると計算できなくなるため、漏れがないよう注意しましょう。
3.損益計算する
履歴を集めたあとは、計算ソフトを使用して、年間の損益額を計算します。
損益計算の方法は下記の3つがあります。
・損益計算ツールを使う
・表計算ソフトを使う
・税理士に依頼する
最もおすすめなのが「損益計算ツールを使う」方法です。
損益計算ツールを使えば、取引履歴をアップロードするだけで自動計算が可能であるため、詳しい計算式などがわからなくても損益額を計算できます。
代表的な損益計算ツールには「クリプタクト」や「Gtax」があります。
初めて確定申告を行う場合は、「費用」「やりやすさ」の観点から損益計算ツールを使用するとよいでしょう。
必要経費は忘れず入力する
損益計算をする際、必要経費の計上が可能です。
必要経費を計上すると、所得を下げられて、支払う税金を抑えられます。
経費として認められる可能性のあるものは、下記の通りです。
・取引に使用する電子機器(パソコンなど)
・セミナーへの参加費用(勉強や情報交換のため)
・計算ソフトや損益計算ツールのサブスク料金
・勉強のための書籍購入費用
経費として認められるかどうかの判断は専門家でないとむずかしい場合が多いため、一度税理士や税務署に相談してみてください。
損益計算をした結果、利益金額から経費を引いて残った金額(所得)が20万円を超えている場合は、確定申告の必要があります。
2.確定申告書を作成、提出する
確定申告の必要がある場合は確定申告書を作成して、税務署へ提出します。
e-Taxを使えば、パソコンやスマホからでも確定申告書を作成できるのでおすすめです。
損益計算した結果は「確定申告書にある雑所得の欄」に記載します。
サイトの流れにそって記載したら、提出まで完了できます。
参考:国税庁「暗号資産の取引に係る収入がある場合」
確定申告書の提出期限は毎年3月15日(土日祝日に重なる場合は翌平日)までです。
忘れずに期限までに提出しましょう。
3.納税する
確定申告書を提出すると納税金額が確定するため、決められた金額を納税します。
仮想通貨の所得は給与所得のように天引き(源泉徴収)はされませんので、自分自身で納税する必要があります。
主な納税方法は下記の5つです。
・e-Taxで納付
・税務署へ直接納付
・クレジットカード決済
・銀行振込
・コンビニでの納付
サラリーマンなど平日に時間が取れない方は、クレジットカード決済や銀行振込を活用するとよいでしょう。
また、「仮想通貨はもっているけど、手元に日本円がなくて納税できない」とならないよう、納税に必要な分の日本円は事前に確保しておきましょう。
仮想通貨の確定申告をおこなううえでの注意点3つ
仮想通貨の確定申告を行ううえでの注意点は、下記の3つです。
1.総合課税される
2.損益通算ができない
3.損失繰越ができない
1.総合課税される
仮想通貨の所得税は、給与所得や事業所得などの他の所得と合算されます。
所得税は累進課税となっており、所得額が多くなればなるほど税率も高くなるため、注意が必要です。
参考:国税庁「No.2260 所得税の税率」
2.損益通算ができない
仮想通貨の所得は、給与所得や事業所得などの他の所得と損益通算できません。
損益通算とは、他の所得同士の赤字と黒字を相殺できる制度で、損失が出た所得を他の利益から差し引けます。
しかし、仮想通貨で損失がでた場合は、他の所得から損失分を差し引けません。
損益通算できる場合と比較して、税金を多く払う必要があるため、注意が必要です。
3.損失繰越ができない
仮想通貨取引の損失は繰越ができません。
損失繰越ができれば翌年に赤字を繰越せるため、節税が可能です。
不動産投資や株式投資であれば損失繰越が可能ですが、仮想通貨取引ではできません。
損益通算と同様、節税できないため注意しましょう。
仮想通貨の確定申告をするうえで押さえておきたい知識2つ
仮想通貨の確定申告をするうえで押さえておきたい知識は、下記の2つです。
1.仮想通貨の利益は雑所得
2.税金のかかるタイミングは4パターン
1.仮想通貨の利益は雑所得
仮想通貨の取引による利益は原則「雑所得」扱いとなります。
所得には、「給与所得」「事業所得」「不動産所得」などの10種類があり、給与所得のみのサラリーマン(会社からの給料以外に何も収益がない方)は、雑所得が年間で20万円を超えると確定申告が必要です。
ただし、収入金額が300万円を超える場合は「事業所得」とする場合があります。
その際は帳簿書類の保存が必要となるため、事業所得で計上したい方は覚えておきましょう。
また、アフィリエイトやせどりなどの副業で稼いだ利益も、雑所得として扱われます。
仮想通貨の取引以外に利益のある方は、確定申告の必要有無や納税額がかわってくるので注意しましょう。
2.税金のかかるタイミングは4パターン
仮想通貨の取引にて税金のかかるタイミングは、主に4パターンあります。
1.仮想通貨を売った(利確した)とき
2.仮想通貨で別の仮想通貨を購入する(交換する)とき
3.仮想通貨をもらったとき
4.仮想通貨で商品を購入したとき
では、具体例も交えて解説していきます。
1.仮想通貨を売る(利確する)
仮想通貨を売ったタイミングで利益(または損失)が発生し税金がかかります。
例:ビットコイン(BTC)を日本円に交換する(売却する)
売却時は、「BTCを買ったときの金額」ー「BTCを売ったときの金額」=利益額です。
2.仮想通貨で別の仮想通貨を購入する(交換する)
仮想通貨同士の交換も課税対象です。
例:ビットコイン(BTC)でイーサリアム(ETH)を購入する
このときは、「ETHを買った金額」ー「BTCを買った金額」=利益額です。
イメージは、ビットコイン(BTC)→日本円→イーサリアム(ETH)の流れで考えるとわかりやすいです。
3.仮想通貨をもらったとき
仮想通貨を無料でもらった場合も、利益としてカウントし税金がかかります。
例:エアドロップで仮想通貨をもらった
このときの利益額は、もらったときの価格がそのまま利益として扱われます。
また、もらった仮想通貨を売る際に値上がりしていた場合は、増額分も利益となるので注意が必要です。
4.仮想通貨で商品を購入したとき
仮想通貨で商品やサービスを購入した場合も、課税対象です。
例:ビットコイン(BTC)でゲーム機を購入した
仮想通貨で商品を購入する場合、仮想通貨を売却するのと同じ意味になります。
このときは、「商品価格」ー「BTCを買ったときの価格」=利益額です。
仮想通貨の税金は「仮想通貨を使用した場合にかかる」と覚えておきましょう。
節税する方法3つ
仮想通貨の所得は雑所得に分類されるため、所得が大きくなりやすいです。
納税額を少しでも押さえられるよう、節税するための方法を3つ紹介します。
1.仮想通貨を利確しない
2.損失が出ている仮想通貨を売却する
3.年間利益を20万円以下にする
1.仮想通貨を利確しない
仮想通貨は含み益がある場合でも、日本円や別の仮想通貨と交換しない限り、課税対象とはなりません。
仮想通貨を保有しつづければ、節税になります。
2.損失が出ている仮想通貨を売却する
仮想通貨の取引で発生した利益・損益は、1年間であれば差し引きできます。
ある仮想通貨で利益が出ていても、損失が出ている別の仮想通貨を日本円に換金すれば、トータルの利益額を減らせ、納税額を少なくできます。
しかし、年をまたいだり、他の所得との差し引きはできないので、注意が必要です。
3.年間利益を20万円以下にする
給与所得のある方は年間利益が20万円以下であれば確定申告をする必要がありません。
よって、毎年利益を20万円以下に抑えれば、そもそも税金が発生しません。
節税対策すれば、支払う税金額を少なくできます。
また、確定申告の必要がなくなる場合もあるので、取引する際は節税を意識しておきましょう。
確定申告をしないとどうなる?
確定申告の必要がある場合に申告をしなかったらどうなるのでしょうか?
結論、確定申告をしなかった場合、下記の罰則が課せられます。
1.加算税
2.延滞税
3.5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金
1.加算税
加算税は、確定申告や納税が正しく行われなかった際に課せられる罰則です。
加算税の種類 | 課せられるケース | 税率 |
---|---|---|
過少申告加算税 | 申告した額が少なかった場合 | 10% |
無申告加算税 | 期限を過ぎても無申告だった場合 | 15% |
過少申告加算税 | 申告内容を改ざんするなどの悪質な場合 | 35%~40% |
申告する内容に過不足があれば、何かしらの罰則があります。
2.延滞税
延滞税は、確定申告を期限(3月15日)までに行わなかった場合に課せられる罰則です。
文字通り延滞料金みたいなイメージで、税率は7.3%〜14.6%が課せられます。
納税が遅れた分、税率も大きくなるため、多額の税金を支払う可能性があります。
3.5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金
故意に脱税を行った場合は税法違反として「5年以下の懲役」もしくは「500万円以下の罰金」に処されます。
また、故意ではない場合でも「1年以下の懲役」または「50万円以下の罰金」に処されるおそれがあります。
確定申告を正しく行わなければ、さまざまな罰則を課されます。
最悪の場合、懲役刑になる可能性もあり、知らなかったでは済まされません。
自分では問題なく納税したつもりでも、間違いがあれば罰則を課される可能性があります。
確定申告を行う際は、「正しいやり方」で納税しましょう。
まとめ
今回は、仮想通貨の確定申告のやり方3ステップを解説してきました。
1.損益計算する
2.確定申告書を作成、提出する
3.納税する
確定申告を行う際は、「給与所得の有無」「利益額」から申告の必要有無を判断する必要があります。
確定申告が必要な場合は、「正しいやり方」で期日までに納税しましょう。
正しいやり方を理解すれば、初めての方でも確定申告は可能です。
しかし、正しいやり方でなければ、ペナルティが課されます。
わからない点がある場合は、迷わず税理士や税務署に相談しましょう。
より安心して仮想通貨の取引ができるよう、正しい確定申告のやり方をマスターしてくださいね!
コメント